Full Spectrum Warrior(Xbox)

 不謹慎すぎて眉をしかめるほど最高に面白いゲームを紹介したい。舞台は中東。プレイヤーが操作するのはNATOから派遣された米軍兵士の精鋭部隊アルファチームとブラボーチーム。ミッションはジーキスタンという架空の民族、国家に巣食うテロリストを殲滅すること。中東の入り組んだ街はテロリストにとっては格好の戦場だ。半壊した自動車の向こうから、路地裏から、無人の商店から、小銃、ロケット弾が部隊を襲う。プレイヤーはひとりの損害も出さずに着実にミッションをこなしていく。
 不謹慎なのは、ゲームのリアルさだ。舞台が中東というだけでも、人によってはイラク戦争を結び付けてしまうだろう。しかも、一つひとつの戦闘が実に真に迫っている。ひとりのテロリストが前方からマシンガンを連射しているとする。アルファチームは注意を引き付けるため真正面の遮蔽物から応戦する。その間にブラボーチームは路地を抜けテロリストの後ろに回りこみ、一撃で確実に仕留める。一発でもはずせば、テロリストの注意がこちらに向いてせっかくの作戦が台無しだ。いやはや、今この時のイラクでも同じような戦闘が行われているんだろうと想像ができる。
 戦場のリアルさを伝えるメディアは映像、写真、記事にゲームが加わった。『Full Spectrum Warrior』はそう思わせるに足る力を持っている。不謹慎だが、面白い。だから、戦争はやめられないのだ。(柿崎俊道

このゲームに反射神経はいらない。必要なのは的確でスピーディな判断力だけだ。小銃で敵の頭を狙うような細かな作業はプロフェッショナルな兵士たちに任せればいい。本作は銃を乱射するアクションゲームではない。恐ろしくリアルなシミュレーションゲームである。