ガンダムSEEDまとめ見週間

SEEDにはなんかずっと違和感があったんだけど、その正体がようやくつかめてきたかも。キラもアスランも政治を語りすぎるんだよな。周囲の敵も味方も理想を語る人間が多すぎるし、アズラエルみたいな武器商人というか急進派というか、そんなのが悪役扱いされる。監督はガンダムエースのインタビューで実際の戦争とリンクさせたみたいなことをおっしゃっていたが、実際の戦争では下っ端の兵士は全体のことなんて考えないと思うんだ。自衛隊でも「考えるのは上官の仕事、下っ端はただ命令遂行だけを考える」ということらしいし、まあ、実際はそうだろうと思うのさ。
まだ読み途中だけど「中東 虚構の和平」(ノーム・チョムスキー)が面白い。第二次世界大戦以降の世界をわかりやすく説明してくれる。エネルギー資源をめぐっての各国の攻防なんて、わかっちゃいるけど、ああ、そういうことだったのか、と。SEEDにはオーブという中立国家があって、そこが主人公たちのより所になる。場所はカリブ海。石油があるから、それで食っているという話になると思うんだけど、そのエネルギー資源はただ自国で使っているだけなのか、それとも他国に売却して外貨を稼いでいるの?とか、そのガンダムを開発、売却して何をしたかったの?とか、突っ込み具合はたくさんある。で、そこはお偉方に任せておいて、主人公たちはただ生き延びるためだけに邁進してほしいんだよ。キラ、アスランはえらい考えて、夢や希望のために実行に移すわけだが、解決策を子どもに押し付けてはいかん。大人がしっかりせんと。利権争いを面白く描ければ、SEEDはもっとわかりやすかったと思うんだよね。だって、ナチュラルとコーディネーターってなんで戦っているのか、今ひとつよくわかんないもん。
さらに付け加えると、ナチュラルとコーディネーターって、ジーンリッチとジーンプアーの話だと思うんだけどさ。ジーンってのは遺伝子のこと。遺伝子を改良できるようになると、金持ちはどんどん優秀になって、金がない貧乏人は人間的にも衰退していくという話。その内、種としてあまりに離れすぎて、お互いに子どもすら作れなくなるかもよ、という怖い話でもある。SEEDの話ってそういうことかしらとも思うんだけど、でもね、この話は金持ちと貧乏人の話だ。つまり、ガンダムが作れるような金持ちは総じてジーンリッチだと思うの。庶民が気軽にコーディネーターになれるなら、風邪薬を飲むような感覚で、もっとライトな関係性を保っていると思うんだよなあ。なんで争うのかよくわからん。
さらに、以前、犬を調べていたことがあってね。とある母犬から大きい子犬、小さい子犬をより分ける。大きい子犬は大きい子犬と交尾させて、小さい子犬は小さい子犬と交尾させる。それを20世代繰り返すと、同じ犬から発生したとは思えないくらい差が出来るらしい。まあ、人生80年。ひとりの人間が意地になって犬の新種を作ろうと思えば、出来なくはないという話です。そうやって犬の種類は増えたわけだしね。だから、人間も20世代くらいしつこく足が速い奴、より高く飛べる奴、計算だけはうまい奴を交尾させ続ければ、固有の種が生まれるんだと思うのよ。そうやって差が開いてどうしようもない連中ばかりと交雑を繰り返した雑種の連中が戦い合うのは面白い。20世代前といえば400〜500年前かしら。400年の断絶なんて、ちょっと覆せそうにないじゃない。コーディネーターなんて安価でできるんだったら、誰も怒らないと思うんですよ、実際。



本日の走行距離 35km。10月に向け、ようやく重い腰をあげる。間に合うのか。